2003年_05

塩が見たい。

そう思ってTrapaniへ来たのです。

Trapani:トラパニはシチリア島の西、逆三角形をしたシチリア島の地形では左端の先っぽというわかりやすいところです。 
アフリカからの暑い風、シロッコ(Scirocco)が吹いてきて暑いの何の!何より、太陽が近い!(宮崎より近い!)

「イタリアというより地中海?!」(上手く表現できませんがこんな感じ)
Saline:サリーネと言われる塩田はトラパニから南約30kmの街、Marsala:マルサーラまでの間の沿岸に大きく2ヶ所に
渡って存在しています。その内、よりマルサーラに近い塩田が日本でも良くお目にかかるMozia:モツィアです。
行ってきましたモツィアまで!



もともと、地中海を生活の場としていたFenici:フェニキア人がこの土地と気候に目を付け塩田の基礎を築いた
(紀元前の話!) そうです。その仕組みは、

・海水(塩分3.5~4.5%)を地中海の風を利用してMulino:風車を回し
・Spira d’Archimede:アルキメデスのらせんを使い
・海岸線の最寄の塩田に引き込みます。
・風と太陽で蒸発した海水は、その濃度を増し
・隣の塩田へ移され、より濃度を増し(繰り返し)
・最終的に塩分24~26%に達するまで干上ります。
・その後、スコップで掻き出しベルトコンベヤに乗せて地上に山積されます。
・山の上に屋根(テラコッタが最良との事)を架け、一冬を越して出来上がり
というような感じです。



この仕事のサイクルは4月頃にスタートするため、真っ白な塩田を間近に見ることが出来なかったので塩田近くの博物館に
入り勉強する事にしました。

“しつこく塩田に居座り歩き回った”ので、博物館の方がビデオを見せてくれたり色々説明してくれました。



“しつこく塩田に居座り歩き回った”ので私の身体も干上ってしまったのか、(日射病?!)がんばってホテルまで辿り着くと
激しい悪寒や胃の痛みを感じ、ついにダウン。

「あー、海外旅行傷害保険のお世話になるのかなぁ~。」

なんて遠のきそうな意識の中でモウロウと考えたりしましたが、そんなことになってたまるか!と気合を入れなおしたのです。
先ずは強引に熱いシャワーをしっかり浴びてとにかく身体を暖め、次に胃の痛みはケイレンだと認識し、体力減衰には
ブドウ糖の摂取が必要と考え、ダメ元でフロントに助けを求めるように駆け込んだのです。
「寒い、助けてくれ。動けない、もう一歩も歩けない」
と嘆願し、その時思いついていた民間療法を頼む事にしました。
以前、シチリアにいた頃、おばあちゃんに作ってもらった飲み物。
「アックア・カルダ、ペルファボーレ。。。」
必死の嘆願に、フロントで話し込んでいた一人のおっさんが

「俺がbarに行ってもらってきてやるよ。部屋に帰ってな!部屋まで持っていってやるから!」



ほどなく持ってきてくれたそれは、レモンの皮と砂糖たっぷりの暖かいお湯、アックア・カルダでした。
少しづつゆっくりと飲んだそれは身体の隅々に暖かさが染み渡るよう。
ゴルゴ13のように身動きせず、じっと身体が癒えるまでベッドに横たわる事18時間あまり・・・。
見事に復活することができました。ふうぅ。
見知らぬおっさん、どうもありがとう!
アックア・カルダに助けられ、旅を再開する事が出来たのです。

続く。