2003年_12

その夜、カターニアを出た列車は朝陽とともにローマに辿り着き。。。
まだ眠気の残るまぶたの先にはまばゆいばかりの帝都の姿。

などという気分にはとうていなれなかったのでした(^^; 予定時刻を2時間あまり過ぎた頃、
なんの前触れも無く動き出した列車はシチリアと本島の境、メッシーナに夜中に辿り着きました。
この列車は結局ここまでとなり、乗換を余儀なくされたのです。
はぁぁ~。 シチリアの旅で集めたサンプルを目一杯詰め込んでやたら重い鞄。
そしてフィリッポがくれた木箱いっぱいのオレンジ。



ただでさえ動きの鈍い状態にもかかわらず、

乗換のホームは2度、3度といいかげんな放送を繰り返しながら転々とし、
私が予約した席はおろか、車両そのもの(番号)が存在せず、
ひいふうみい、と数えてコレ!と思って乗った車両はなぜか立ち入り禁止。

「ぬぉぉぉ!!」 と叫びたくなるところでしたが、これを救ってくれたのが同じカターニアから乗り合わせた大学生でした。
休暇で実家に帰っていたらしく、ローマへ戻るところだということでした。

「シチリアはイイとこです、ホント」

という話をしたのが良かったのか気前よくオレンジの木箱を持つのを手伝ってくれ、乗換ホームのアナウンスにも気を配って

「Koji、アナウンスが必ず正しいとは限らないよ。」

などと言ってはなぜか正確な情報を聞き出して正しいホームへ導いてくれたりして、いやぁ、なんていい奴なんでしょう^^!
そんなわけでどうにかお目当ての席に辿り着いたのでした。

私が予約していた席はCuccetta:クッチェッタという、寝台列車の席としてはお安い席。
向かい合う4人掛けのスペースに、引き出し式4人分の簡易ベッドを組み込んであります。
ちゃんと寝具も一通りあり、ラッキーな事に車両が比較的新しかったのか清潔でした^^!


とにかく、寝れるわけです。

メッシーナという、シチリア島と本島を結ぶ街。
電車はどうやって渡るかというと、ナント車両を切り離してそのまま連絡船に乗っけて本島に着いたらまた車両をくっ付ける
という。。。ひぇぇ! メッシーナ海峡はその距離、約3.3キロメートル。
明石海峡大橋の条件と似ているようです。
もちろん、そのようなプロジェクトはあるにはあるのですが、なんと言うか蜃気楼みたいな。。。
橋がかかって、より近く簡単にシチリアに渡る事が出来たら随分シチリアは変わるかもしれません。
良くも悪くも。

何度か列車に乗ってこの海峡を渡ったことがあり、いつも気になっていて、いつかは切り離しの作業をみてやろうと
目論んでいるのですが、どうもその時間は睡魔に勝てない時間帯でして。。。



やっと辿り着いた私の席。
眠りについたのはおそらく夜明け前。
ローマへは充血した目のままに辿り着く事になってしまいました。

続く