2008年_03

Sciacca:シャッカへ

今回の旅はドライトマトの生産者、Filippo Finocchiaroの助けなしには不可能だったといえるほど
彼には世話になりました。
今回書きます、Sciaccaはじめ、シチリアのいろんな所を彼の運転でトータル1000Kmを超える旅程を
こなす事ができました。

まず最初は既にPIATTIでお馴染みのエクストラヴァージン・オリーブオイル BICENO:ビチェーノの生産者、
Vincenzo:ヴィンツェンツォを訪ねに行きました。

彼がやっているFrantoio:フラントイオ(搾油所)にはいろんなオリーブ生産者が自分で収穫したオリーブを持ち込んできます。
その大半が、自家用に絞ってもらうために来るわけです。
シチリアのこの辺りは10月半ば頃からこうした風景が見られます。



できればエクストラヴァージン・オリーブオイルBICENO、そのもののオリーブの実や搾油風景がみられればなぁと思っていましたが、
彼曰く

「もうとっくに終わっとるわい。来るなら10月半ばだな。」

っとあっさり。
そうそう自分のイタリア行きのタイミングが合うわけないですね。
で、

「ほれ、もうこっちに安置してあるからな。コージの分もここにあるから心配するな!」

っと、いっつもこういう感じなのです。ちょっと変人?!の風合いが感じられる彼なのです。
タンクに入れて直ぐボトル詰めするタイプではないので、あと1,2ヶ月ほど待たないと出荷できませんが、
そうはいっても味見したい、というわけで

「じゃあ、ちょっと味見していい?」っと聞くと

「ほれ。」っと彼。

小さなカップに入れたそれを味見する事に。
涼しいタンク貯蔵所の中だからか、まだ出荷レディでなかったからなのかイマイチ香りが開いてないなぁという、
私のけげんな顔を察知するとすかさず

「もうちょっと暖かい場所(外)でこうしてカップを揺すってやると・・・」

っとアドバイス。

「あぁ、この香りだ!」

っと香りも開き、私の顔もやわらぐと、彼の顔もほころぶ、そんな緊張感を伴う瞬間でした。

まだ見ぬ花の、小さな蕾、そんな感じでした。
しっかりと味、香りを確認し、そしてまた今度のオイルの出来を確信するにいたりました。
楽しみです。

私をアテンドしてくれているドライトマトのフィリッポは彼のオイルを使い始めています。
確かに他のオイルよりもコストがかかりますが、その良さを実感しており、
特にデリケートな商品にこそその存在価値が光るようです。
(セミドライ・チェリートマトのEXVオリーブオイル漬けがそうです)

そしてまた、彼のオイルの価値を理解し、使い始めた生産者がいます。
同じくSciacca:シャッカでアンチョビを作っている生産者です。
彼の商品を知ったのは3年前でした。その味を気に入ったものの、
なかなか直接会って話す機会を得ないまま時間ばかりが過ぎていっていたのです。

アンチョビの取扱を希望していたのですが、すでに日本には沢山の商品が並んでいるわけで、
いろいろと考える事が多かったのですが、どうしても直接会っていろいろ話してみたい、
そんな思いが今回実現したのです。

迎えに来てくれた彼。
また新たな生産者との出会いが始まりました。
緊張の瞬間です。

続く。