2012年_16


久々のFavignana:ファヴィニャーナ島です。
トラーパニの港からフェリーで渡ります。



Antonio TAMMARO:アントニオ・タンマロは島の有名人で、マグロの世界では知られた人です。

島で生まれ島で育ち、小さい頃からずっと働いてきたというアントニオ、今やその高い品質の彼の商品は
北イタリアの食のセレクトショップでも目にする事ができるほどです。


特に本マグロのトロを使ったオイル漬け、要するにツナ缶ですが、その値段に恥じない出来栄えで、
2008年に食のガイド誌Gambero Rosso:ガンベロロッソでイタリアNo.1に輝いたほどです。


彼との付き合いはトマトのフィリッポと同じくPIATTI創業当時からで、私がまだ彼の”塩漬けケッパー”しか買えなかった頃の
細い商いでもずっとつきあい続けてくれている、ありがたい生産者でもあります。



※アントニオとマッタンツアに使う船の模型

今回は仕事というか、ほとんど只々挨拶に来たようなものです。
いつものように彼は忙しく、取引先とおぼしき先客との打ち合わせをする間に彼の薦めてくれた店で昼食をすませ、
ほどなく落ち合うとクルマで島巡りをしようと連れ出してくれました。
店は息子達にまかせられるようになってきた事もあり、彼も自由がきく身分となったわけです。


ファヴィニャーナ島はVacanza:ヴァカンツァでも有名ですので島のあちこちに長期滞在型の貸別荘様の建物が散見されます。
7月初旬はまだまだハイシーズンでもないので比較的穏やかですが、8月ともなるとイタリア国内外から年齢性別を問わず
大勢がやってくるのでちょっとしたカオス状態だそうです。







海の色と空の色が同じでどこが境かわからない感じ、というのが私のこの島に対する印象です。

穏やかでゆったりとした時間が流れる中、貸自転車で島を巡りつつ、お気に入りの入り江でゆっくり過ごす。素敵です。

小さい頃からずっと仕事ばかりしてきたアントニオも昨年大病を患ったそうで、人生についていろいろと考えたようで、
そんな中


「コウジ、仕事もいいけど、今度は必ず家族を連れてゆっくり来い。
 9月にもなれば観光客もぐっと減るし、何より水の温度が上がって海に入るにも丁度いいんだ。良いな、必ず来いよ!」


との言葉が何となく心にぐっと来ました。
まだまだ全速力で駆け抜けないと、と心に決めているわけですが、
どこかで抜くところは抜かないと続かない事も知ってはいるのです。

「そうなんだ、アントニオ、わかってるよ。きっと来るさ。」

ファヴィニャーナに流れる時間はとてもゆるやかで優しいのです。
またしても駆け足、日帰りの滞在は何だか心苦しくなってしまいそうなそんな魅惑に後ろ髪引かれる思いで島を後にしました。

追記
アントニオがトラーパニにお店をOPENしました。
そこでは、商品の購入はもちろん、ワインを飲みながらマグロの塩漬けやペーストなどを楽しむことができます!







続く。