Culatello di Zibello D.O.P:クラテッロ・ディ・ズイベッロ D.O.P
Culatello di Zibello:クラテッロ・ディ・ズィベッロは、その奥ゆかしい香りと複雑で変化に富む味わいは
古来より人々を魅了してきた知る人ぞ知る逸品です。
その名産地とされる場所がパルマ県の北西部、Bassa Parmense:バッサ・パルメンセと呼ばれるポー川沿いにある付近
で、現在8つの村(Busseto:ブッセート、Polesine Palmense:ポレージネ・パルメンセ、Zibello:ズィベッロ、
Soragna:ソラーニャ、Roccabianca:ロッカビアンカ、San Secondo:サン・セコンド、Sissa:シッサ、
Colorno:コロルノ)をCulatello di Zibello D.O.P(原産地保護呼称):クラテッロ・ディ・ズィベッロ D.O.Pとして
認定し、22の生産者が作っています。
ところでProsciutto di Parma:プロシュット・ディ・パルマ(パルマハム)の生産地とほど近いところで作られるため
良く比較されますが、随分と異なる部分が多いのです。
まず、原材料はパルマハムが豚もも肉そのものであるのに対し、クラテッロ・ディ・ズィベッロは豚もも肉のうち
お尻側に近い太ももの後側と内側にある筋肉の束、を使います。使用する部位が臀部を指すCulo:クーロがCulatello:
クラテッロ(現地での発音もクラテッロ、というよりクーラテッロ位が近い感じ)という名称の由来とされています。
次に肉に塩をしていく工程は同様ですが、その後がまた異なっていて、パルマハムは皮付きの豚もも肉を乾燥させていく
のに対し、クラテッロ・ディ・ズィベッロは使用する部位が肉そのもので皮が無いため、豚(又は牛)の膀胱の皮で包み
亀甲に縛り、それを地下のセラーで熟成させていきます。
同じパルマといっても、山間の風を利用して乾かしていく生ハムとは異なり、川沿いの低地という湿度の高いところでは
乾かすどころかむしろカビてしまうのです。
▲霧深い冬季のBassa Parmense:バッサ・パルメンセ
しかし、このカビと同時に存在するAkari:アカリと呼ばれる微生物が肉を発酵・熟成させるのです。
決してカビを好んでいるわけではなく、カビと上手く折り合いをつけながらアカリの助けを借りて熟成させていくような
工夫の賜物が、後に得も言われぬ旨味を醸し出す逸品となり得るのです。
▲Akari:アカリ 粉が落ちているように見えるそれがAkari:アカリと呼ばれる微生物
指で床をなぞると指の後がしっかり残りますが、暫くすると指の跡が分からなくなるほど元に戻る→動いている証拠
▲地下の熟成庫 ビッシリとクラテッロ・ディ・ズィベッロがぶら下がっている様子が壮観
天井に吊り下げられているものと柱まわりに沿うように吊り下げられているものとでは熟成の局面が異なるのです。
・天井は、皮に包んで縛って間もないフレッシュな肉をなるべく早く乾燥させるように床(その下に水路がある)から
離した位置という意味合いで、一定期間の乾燥工程を経た後、柱の上部から下部に様子を見ながらつけかえていきます。
・床は、前述したAkari:アカリがいる場所であり、柱を伝って登ってくることができ、水分が抜けた肉の塊を
発酵させる働きをしてくれる場所となります。
・そして最後はそれぞれに異なる個体の食べ頃を見計らって出荷となりますが、その作業は職人のまさに手作業
で木槌で叩いた音で判断しています。
6代目となる現当主のEnrico:エンリコ氏が小さい頃からやっているという、その作業を実際に見せてくれて、
その音の違いを説明してくれましたが、恥ずかしながら正直私にはわかりませんでした。つまりそのくらいデリケート
で大切な最後の部分を人間に委ねている、というその事そのものがartigianale:アルティジャナーレなのです。
自然環境と、培われてきた人間の知恵と工夫によって出来るものだからこそ、その名前に意味があるのです。
Culatello:クラテッロという名前が使用する部位に由来するのに対し、続く di Zibello:ディ・ズィベッロはまさに
その微生物が生息する地域の気候風土に大きく影響するのです。
少し食すだけで存分の満足感
さて、このような環境で発酵・熟成が行われる Culatello di Zibello DOP:クラテッロ・ディ・ズィベッロ DOP
ですので、外皮として使われた膀胱の皮はやはり見事にカビており、これを外してもいきなりこれをスライスして
サーブできるはずもなく、一定の手続が必要になります。これについても引き続き見せてもらいました。
・巻いてあった紐、膀胱の皮を取り除き
・ワイン(白ワイン)を浸した布でやさしくこすりながらカビを洗い落とす
・ある程度きれいになったら、さらにワインで浸した布で全体を覆い
・時々ワインを加えながら1~2日ほど置く
という具合です。
何とも手間のかかる食べ物ですが、スライスするや立ち上がる香りは時により異なりますが、イチゴのような果物
まったりとしたチーズ、上品な鰹節、あるいは味噌のような香りが控えに控えながら幾重にも折り重なったような
凝縮感のある複雑さを持って鼻孔をくすぐります。
口に入れたら3秒待つべし
上記のような「凝縮感のある複雑さ」を存分に楽しむために、この生産者が私に教えてくれたフレーズです。
スライスされた一枚を手でつまみ、口に入れたら直ぐに噛まずに3秒待ってみて下さい。
そうすると口内の中では、体温で温まる事で徐々に様々な香りた花開き始め、唾液を呼ぶ旨味の塊が徐々に濃い
味わいをもたらしてくれます。
それらは変化を伴いながら楽しませてくれるので、飲み込むことを躊躇させるかのようです。
少々大げさかもしれませんが、そんな楽しみが出来るのはクラテッロ・ディ・ズィベッロならではなのです。
時間をかけて得られるこの高い満足度ゆえ、それほどの量を食べずともすむのです。
ゆえに、通常のハムの倍以上の価格がつくものですが、食す量は半分ほどで済む、という事になります。
直輸入ポデーレ・カダッサのクラテッロ・ディ・ズィベッロ
クラテッロ・ディ・ズィベッロは、一言で表現しきれないような複雑な旨味を持つと同時に、そのヴァリエーション
は個体の数だけあるといっても過言ではないほど豊かです。
現在は店舗にて毎日のようにスライスする機会に恵まれたことで、身をもってそれを納得しています。
とはいえ、貴重で高価なものであるにも関わらず、味わいが毎度異なるというのもなかなかに酷な話です。
その中で私が美味しいと感じるものを手元に置くためには、どうしても生産者との信頼関係が欠かせない
と実感していました。
トマトや塩、チョコレートに始まり、これはと思うものを直輸入してお届けしてまいりましたが、いよいよもってハムの
直輸入に至るきっかけになったのがこの生産者のクラテッロ・ディ・ズィベッロなのです。
クラテッロ・ディ・ズィベッロD.O.P生産地であるColorno:コロルノにあるこの生産者によるクラテッロを以前に
何度も食した事があり、その味の良さは知っていました。
そして最近、偶然にも現地の知人が勤め始めたことで一気にコミュニケーションのきっかけが出来たのです。
早速に現地工房を訪ねた処、懇切丁寧に対応してくれたのと同時に、私のインプレッションも大切にしてくれました。
この人達なら今後のコミュニケーションも図っていけるのではと確信したのです。

また日本への輸出を前向きに検討していたというタイミングもあり、日本の税関での手続きに必要な書類を用意する
事にも骨を折ってくれました。
そしてこの度の直輸入に至りました。
1枚1枚、ご注文を頂いてからお届けご希望時に合わせて出荷する日にスライスいたします。
アフリカ豚熱の問題で2022年1月8日より日本への輸入が禁じられ、現状在庫が尽き次第販売終了、
次回入荷未定となります。
包装状態が選べます
【フレッシュネスパック】:お届け時より2,3日以内にお召し上がりになれる場合にお勧め
※内側にアルミを貼り付けた鮮度保持に優れたイタリア製のパックです。
お早目のお召し上がりをお勧めいたしますが、薄切りが可能ですので
「切りたてならではの風味が楽しめる」というメリットがあります。
【真空パック】:ご多忙、ご不在がちで何時お召し上がりになるか不明の場合にお勧め
※真空パックする事で酸化の影響を遅らせる事が出来、日持ちがします。
密着するために剥がし辛くなるため、簡易包装タイプより若干厚みがあります。
品名 | クラテッロ・ディ・ズィベッロ |
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名称 | 生ハム |
原材料 | 豚、塩、黒胡椒 |
特定原材料等 | 豚肉 |
内容量 | 50g、100g |
賞味期限 | 期日は個別表記 |
保存方法 | 冷蔵(5℃以下)にて保存し、開封後はお早目にお召し上がり下さい |
原産国 | イタリア(エミリア・ロマーニャ州) |
栄養成分表示【100gあたり】
熱量 | 341 Kcal |
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たんぱく質 | 29 g |
脂質 | 25 g |
炭水化物 | 0 g |
食塩相当量 | 4.3 g |